わたしは今住んでいるマンションが大好きです。
住み心地がよく、住人も良い方々ばかりで満足しています。少しずつ手入れをしながら、このまま何十年も住み続けるつもりでいました。
それなのに戸建てに住み替えようと決めたのは、管理組合の運営に疑念を抱き、現在まで持ち越されている問題を調べ、解決に向けて動き続けるのにほとほと疲れたから。
マンションの管理形態はとても複雑でした。住む場所のことについてこの先ずっと悩ましく思うくらいなら、いっそ自分たちの裁量でなんとでもなる戸建てに移ることにしたのです。
夫婦それぞれ戸建て育ちで、両親の修繕管理や近所づきあいを見ていたので不安はありません。
管理組合は人任せ、人次第だよな
自分の家のことは自分たちでやってこうって思ったの
マンション暮らしは、何も気にしなければとても楽なのです。
けれど、管理組合がおかしなことになっていると気づいてしまったら、不安なことばかり。
マンションの管理
誰がする?
管理組合の実態
うちのマンションは管理組合(理事会)がしっかりしていると評判で、住んでみたらその評判を裏切らない素晴らしい理事会活動がなされていました。
それが実現できていたのは、あるひとりの人物(Aさん)のおかげでした。マンションのためにと献身的に動いている様子は、周りの人の心を動かし、良い雰囲気で組合が運営されていてのだそう。
理事会活動で困ったら、
「Aさんに聞けばなんでもわかる」
「Aさんに言えばなんとかしてくれる」
とみんなから頼り(あて)にしていたようです。
それがいけなかった。
あるとき、Aさんはひっそりと退室してしまいました。急な出来事で、ご家族の意向により事情は伏せられていたようです。
このマンションのすべてを知り尽くした人がいなくなってしまった!
これには管理組合も大打撃を受け、管理業務がうまくまわらなくなってしまいました。なぜなら、Aさんのこれまで培ってきた知識経験を失い、管理してくれていた業務資料も使えなくなってしまったからです。
実のところAさんは、管理していた情報を管理組合と共有していなかったのです。
人頼みの代償
これまで、Aさんがマンションの管理を一手に請け負っていたともいえる状態。管理会社はまったく仕事をせず、ほとんどの業務を手伝っていたのはAさんだったとか……。
そんな状態だったのをわたしが知ったのは、Aさんが退室されて1か月後。
あるトラブルに巻き込まれ管理組合へ対応を求めたとき、返答がおかしかったことが気になって、マンション内コミュニティの会合の場で聞いてみました。
最近、管理組合の対応が変だよね
そうしたら、
「これこれこういう事態になっていて、なんとかしないと、このままでは建物の修繕もままならなくなる」
とか言うではありませんかー。
そりゃいかん!ってことで過去の理事経験者とともに、マンションの修繕管理の状況について調べ、管理組合に進言するなどして動いてきました。
例えば、管理組合が通常業務に手一杯で、そこそこ大きな修繕工事が控えているのにまったく準備ができてないようなので、
修繕委員会を立ち上げましょう!過去の施設担当理事と一緒に手伝いますよ!
と声をかけるも、華麗にスルーされたりとか。
まぁ、めんどくさいですよね……。
エトコはもともと積極的に呼びかけるタイプじゃないから疲れるやろ
えぇ、えぇ、もうぐったりですわ
足りない管理費
そんなこんなで、管理組合とあーだこーだとやり取りをしながらも時は過ぎ……今年の総会で提出された議案書の管理費会計項目をみてびっくり。
げげっ!
マイナス予算やんかー
予算のマイナス計上とか、ありえなさすぎる。
ふつう、予算はマイナスにならないよう、他の項目で調節するものです。
うちのマンションは、歴代理事たちがずっと節約に励みながらほぼ自主管理形態を続けていました。そのため、余剰金はそこそこあるんです。だからといって、余剰金をあてにしちゃだめでしょう。
管理会社任せの運営をしてこなかったので、無駄な出費も抑えられていて、修繕費もたっぷりあったりします。
管理会社からみたら扱いにくい管理組合だよな
今回マイナスになったのは、管理費会計でした。前年の管理会社の値上げや今年の消費増税、各清掃費の値上げなどを考慮して、管理費の見直しをしなければならなかったのです。
管理会社からのアドバイスはなし
管理費の見直しとか管理会社がしてくれるんじゃないの?
とか思ってたんですよ。マンションに住み始める前までは。
契約内容によるところもあるでしょうが、うちのマンションでは管理会社からのアドバイスなどはありませんでした。
管理会社は自社にメリットがない限り動きません。もし、管理組合が管理費の見直しをして契約金額が下がろうものなら、それは管理会社にとってのデメリット。
管理会社の業務内容については、総会でいつも論議の的になってるところです。
ふつうに仕事してくれる管理会社を探し出すのは至難の業なんだよ
(管理会社の)担当が会計ちょろまかして懐に入れようとしたことがありまして、たまたま当時の監事が本職で経理をしていた方だったので事前に気づき、未然に防ぐことができました。
管理会社の提示する工事金額は、相見積もりをとった他の業者の3~5割増しはあたりまえ。
会計を管理会社に任せていたら、抜けや間違いが多すぎて大変なことになっていた。間違いを指摘すると「前任者が……」などと言い出す始末。
等々あげ連ねるとキリがない、あまり書くとどこからともなく怒られそうな気もするのでこのくらいで。
管理会社に管理を丸投げしてると本当に危ないと思いました。では、管理会社を変えればいいかというとそれも簡単じゃなく。総会で3/4以上の賛成票が必要で、次の管理会社がまともとは限らないんですよね。
相談役としてマンション管理士を雇うことも、視野に入れているようです。
マンション管理は
みんなでするもの
ちょっとしたことで管理組合の質がガタっと低下するって恐ろしいのな
低下した質を再び戻していくのはとても難しい。
マンションで暮らしていて思うのは、戸建てに比べると住民の当事者意識が低いなぁてこと。
「自分の所有している家」
というよりも
「誰かがなんとかしてくれる家」
という感覚が強いように感じました。これって賃貸住まいの感覚ですよね。
管理費や修繕費の値上げを心配する声もよく聞こえてくるんですが、値上げに反対するのならどんどん理事活動に参加したほうがよいと思ってます。マンションは自分の家であり、みんなの共有財産でもあるんです。
それぞれの事情で理事活動が難しい人をひっくるめても余裕のある運営をしていけるような管理組合が理想だよ
おわりに
理想を語るときりがなく、個人でできることには限りもあり。
これまで管理組合関連でかなりの時間を割いてきてました。今の住まいを気に入ってはいても、この先、ずっと管理組合の手伝いを続けないといけないのなら、マンション暮らしをやめようとの結論にたどり着いたのでした。
戸建て住まいの修繕管理は自分たちで行うことになるのですが、これがどんだけ気楽かと思います。
マンション暮らしも楽じゃない