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『NNN(ねこねこネットワーク)』は存在すると確信した日

8年前のこの日、猫を脱走させてしまいました。

生後3か月前の頃からずっと室内飼いをしてきた猫で、外の世界はほとんど知らず。

避難そっちのけで必死に探しました。

何時間もかけて探して回り、ひょんなことから近所の黒猫さんと一緒に発見、なんとか救出できました。黒猫さんがいなければ見つけきれなかったかもしれない。

『NNN(ねこねこネットワーク)』は存在するに違いないと確信したのはこの日からでした。

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エトコ

今思い出しても目頭が熱くなる

猫とわたしの関係をさかのぼる

ゴロゴロするにゃんこさん、懐かしい…2002年の風景

『NNN(ねこねこネットワーク)』とは、猫による猫のための秘密組織。

猫にやさしい人間を常にチェックしており、隙あらばすり寄り、あわよくばその家の飼い猫に…という流れを作ってしまうとのこと。

猫が猫を守ることがあるのは、飼っていた姉妹猫たちがそうだったので十分あり得る。

話しかけると答えてくれるにゃんこ

神社で働いてた頃は就業時間中によく抜け出して、駐車場で開かれていた猫集会に参加していました。

何をするでもなく、ただ一緒にぼーっと過ごすだけなんですが。逃げられるかと思いきや、まったりと受け入れてもらえてたんですよね……あれはチェックされていたのかも。

子供の頃からよく猫についてこられたり、拾うことが多かったので、猫がそばに寄ってきたら声をかけるのは当たり前の行動でした。

8年前に起こった出来事

黒猫さんとの出会いは、震災の4か月前。

引っ越し作業をしていたときのこと。

引っ越し先が近所だったため、業者に頼むのとは別に自分たちで荷物を運んでいました。

平日の午後、引っ越し先の部屋へひとりで荷物を運び込んでいると、足元のすぐそばまで黒い猫が寄ってきて、何をするでもなくこちらをじっと見ているんです。

「こんにちは。よろしくね」そう声をかると、黒い猫はするりと足元を抜けて去っていきました。

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エトコ

ただ挨拶にきたのだと思う

その後、引っ越しが終わりしばらく経ってから、あの黒い猫がご近所さんの飼い猫だったことを知りました。

特に交流するでもなく時は流れて、2011年3月11日、東日本大震災の日。

大揺れに驚いて玄関ドアを開けてしまった!

日中はテレビをつけない習慣だったのに、この日は久しぶりにサスペンスドラマを見ながらのんびり過ごしていました。

いきなりドゴーン、という大きな音がした途端、大きな揺れとともに部屋中のものが倒れたり、ずるずると動き出したり。それまで見ていたテレビは倒れ割れていました。

何が起きたのかわからず。

これまで経験したこのない揺れに驚き戸惑うなかでとっさに思ったのが「玄関を開けとかないと!逃げられなくなる」

何も考えず玄関のドアを開けてしまったんです。

その瞬間、足元を駆け抜けていった黒いかたまり。

一瞬でした。

色も見分けられないくらい。

思いつく限り探し回るも見つからず

いま、足元を駆け抜けたのは1匹だった。

もう1匹はどこ?!

部屋中を探して、押し入れの奥に隠れてガタブルしているサバトラを見つけました。緊張のあまりこわばっていて動けなくなっている様子。

サバトラを安全な場所であるキャットケージに入れ、すぐにキジトラを探しに飛び出しました。手には大好物の煮干しの袋をつかんで!

当時、住んでいたのは集合住宅の1階でした。1番に探すべきは軒の下。ベランダや軒の下をのぞき込むもおらず。駐車場の車の下をのぞいて回り、公園のベンチの下、木の上、家の近くの猫の好みそうなところを片っ端からのぞき込んで探すも見つからず。

どうしても見つけきれない。どうしよう。焦る気持ちで泣きそうになるのをこらえながら名前を呼び続けました。

飛び出していったキジトラは、好奇心は強いが警戒心もかなり強い猫。それでも日頃から、名前を呼ぶと「にゃぁ~」と返事をしてわたしのところに駆け寄ってくる習慣がありました。寝ていてもご飯を食べていても、何をしていてもです。

呼べば、声さえ聞こえていれば、出てきてくれるんじゃないか。そう期待して名前を呼びながら探し続けました。

黒い猫と一緒に発見、救出

2時間、探し回っても見つからず。ゴロゴロ雷が鳴りだした空模様はかなり暗い。

家に戻り、ベランダをもう1度確認してみようと外へ目をやると、ベランダの手すりに黒い猫が座っていて、こちらを見ている。

なんだろう?気になる。すごく気になる。

もう1度、軒の下を見に行ってみると……

いた!!!!!!!!

軒の下で小さく丸まってるキジトラがいました。最初にのぞき込んだときはいなかったのに。

名前を呼んでもピクリとも動かず、じっとこちらを見つめるだけ。

瞳孔がずっと開きっぱなし。

すごくおびえていました。

余震で揺れ続けるなか、少しでも早く連れ戻さないといけない。いつ建物が崩れるかわからない。(ヒビが入っていたんです)

声をかけ続けても相変わらず動かない。

大好物の煮干しを差し出して見せてもだめ。

ぽつり、ぽつり、と雨粒が落ちはじめました。

どうしよう、焦る。焦りまくる。だって!わたしの腕ではキジトラまでもう少しのところで届かない。潜りたくても頭は入らないし狭くてきつい。

こんなところ(軒の下)でモゾモゾしているうちにキジトラがまた逃げちゃうんじゃないか。今度こそ見つからないかもしれない。

半べそかきながら、できる限りの服を脱いで、地べたにはいつくばって、軒の下に潜る。頭も顔も砂だらけだけど、いいんだ。

誰か助けてー!!って気持ちでいっぱいで、ふと目をやると、黒い猫がキジトラの退路を断つように立ってくれてるのが目に入りました。精一杯伸ばした手の先がキジトラに届いたときの嬉しかったこと。

黒い猫に見守られながら、少しずつキジトラの体を手繰り寄せ、無事に軒の下から救出できました。探し始めてから4時間後のことでした。

黒い猫にたくさんのお礼の言葉をかけて、部屋へ戻りました。

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エトコ

無事でよかった

もうこんな経験したくないと心底思ったよ

 ねこねこネットワークの存在

キジトラ(そら)とサバトラ(うめ)

あの時はとにかく確保に必死で頭が回らなかったんですが、後から考えると不思議に思うことがいくつかあって。

わたしが軒の下からキジトラを引っ張り出したとき、体がカチコチに固まっていて、とてもじゃないけど動けるような状態に見えなかったんです。最初に軒の下をのぞき込んだときはいなかった…キジトラ、どこにいたんだろう?

普段は知らない猫には威嚇するキジトラが、黒い猫に対してはじっと静かにうずくまっているだけの反応。黒い猫もただじっと静かに座って見ているだけでした。知り合いだったの?てか、いつの間に知り合った?

さらに、この救出劇のしばらく後から、黒い猫がうちのベランダに遊びに来るようになったんですが、うちでは最も警戒心が強く、最も威嚇の激しいビビりのサバトラが黒い猫に対してはまったく威嚇をせずふつうに接していた。なんでだ??

考えてもわからない猫の不思議。

もしかして、いつの間にかうちの猫たちもねこねこネットワークの一員になってたんじゃないかと思えてくるんです。

その後、遊びに来るようになった黒猫さん

わが家のボス猫キジトラがチェック係

震災の後、お礼もかねてベランダにキャットニップの鉢植えを置いておきました。黒猫さんがたまに目を細めてクンカクンカしているのを見かけたので、ちょっとは気に入ってもらえたのでしょうか。

震災後、しばらくしてから黒猫さんがふらりと遊びにくるようになりました。

何をするでもなく、手すりのところでゴロゴロして、のんびりひと時を過ごしたらいなくなる。

震災の9日後に生まれたラビ

初めて黒猫さんを見たときのラビの反応はというと…

目を見開いて警戒心丸出し

興味あるけど、近寄れない、そんな表情でずっと黒猫さんを見ていました。子猫ながらの好奇心で、威嚇などはまったくなし。

そのうちすっかり慣れて、上から目線であいさつするように……いつも上から(笑)

この家には1年半しか住んでいなかったのですが、黒猫さんとの思い出は今でもはっきりと覚えています。またどこかで会えたらいいなぁ。