パンの本は20冊以上持っていたんですが、現在はこの本1冊のみになりました。
この本は現在でもわたしのパン作りにとってバイブル的な存在です。
パンを焼き慣れている前提で、こんな人におすすめの本。
- 普通のパンレシピでなくて、ゆっくり(冷蔵)発酵のレシピを探している
- リーンなものからリッチな配合のレシピが網羅されている一冊を探している
- そのまま食べておいしいパンを焼いてみたい
(古)本屋さんなどで見かけたらぜひ手に取っていただきたく思い、ご紹介することにしました。
わたしのパン作りを
加速させた本
この本の通りに作るとケミカルな香りのしないパンが焼けるとの評判でした。
わたしはいつもフェルミパンというドライイーストを使って、パンを焼いています。
これまでフェルミパンを使って作ってきたパンで、ケミカルな香りを意識することはありませんでした。
なので、”ほんの少しのイースト”にはさほど興味がわかず。
ただ、”パン生地を熟成させるとものすごくおいしいパンが焼ける”という部分がとても気になりました。
ものすごくおいしいパンってなに?どんな?未知の世界に出合うことができるのかも!って、期待を込めてこの本を手に取ったのです。
食いしん坊だもん!いろいろ試したい
結果、どうだったかというと
ぜひぜひ!!!全力でおすすめしたい!
この本は初めてのパン作りに、というよりパン作りに慣れてきた人向け。
「基本的なパンの作り方はオッケー!次のステップに進みたいわ」
となったとき、手にとってみてください。
少しのイーストで焼くパンの
おすすめポイント
- 本の作りが可愛らしくてコンパクト
- レシピの幅が広い
- 基本レシピから応用への流れがわかりやすい
- 具材の組み合わせが面白い
- ものすごくおいしいパンができる
1. イラストや作りが可愛らしい
これ、大切ですよね。パラパラ読んでかわいいってやる気に影響大。
コンパクトサイズで、作業台の上に開いておいて邪魔にならないのはポイント高いですね。
開いたページが閉じにくい横長形式なのも使いやすいところです。
2. リーンからリッチなものまでバランスがよい
この1冊でシンプルな食事パンから、甘いおやつパンまで楽しめる!
偏りがなくて満足度の高い内容です。
3. 基本レシピを習得したら応用編に挑戦
どのパンにも基本のレシピがあって、基本からの応用という形で難しめのレシピが展開されています。
例えば、食事向けの食パンの応用で、おやつ向けの甘い食パンも作れるというふうに。難易度が少しずつ上げられているので、挑戦しがいがあります。
4. 具材のバリエーションが豊富
自分ではまったく想像できないようなレシピがあり、どんな味になるのか試してみたくなるものばかり。
好奇心をくすぐられるレシピが多い!
5. うまく焼けるととびきりの味
ほっぺが落ちるほど感動のお味。
うまく焼けるまでが長くかかった分、感動もひとしお(笑)
なにもつけなくて、そのままパクパクいけるくらいおいしい。
多少の手間がかかろうとも、また作ろうと思えるくらいのものが焼けます。
こんがりと焼けたおいしそうなパンの画像を眺めているだけでもヨダレがとまらな~い
べた褒め(笑)
とてもいい本なんです。
パン作りにマンネリを感じはじめた人におすすめしたい。
ただね、ちょっと気にかかるところもありまして。
まったくの初心者さんには
あまり親切ではない
ズバリ!この本のまずいところは、
ある程度パンを焼き慣れた人向け
であることなんです。
なんとー! 基本的なところが詳しく書かれていないんだよね~
パンを初めて焼く人にはおすすめ……できません。
目安になる部分の表記があいまいなので、まったくの初心者では戸惑うばかりかも。でも、パン作りをしている人に教えてもらいながら、一緒に作業するなら大丈夫。
基本的なパンの焼き方を覚えている人なら問題ないですよ。
初心者さんでも、研究熱心で何度失敗しても凹まないメンタルの持ち主ならぜひチャレンジを。
- こね上がりの状態がわかりづらい
- ボウルでの混ぜ方もあっさり
- 1次発酵の完了の見極めどきがあいまい
1. こねあがりのタイミングがわからない
”こね時間何分くらい”と書かれていますが、こねている生地がどういう状態になればよいのかは書かれていません。
こねすぎてしまっているのか、それとも足りないのかがわかりづらかったです。
ゆっくり発酵させるから、こねはそう重要ではないのかも?
2. ボウルで混ぜ合わせるのはあっさり?
台でのこね方の説明はあっても、ボウルでこねる部分の説明はさらっとしかなく、ボウルではほとんどこねなくてよいということで解釈しました。
3. 1次発酵の見極めどきがおおざっぱ
”ボウルいっぱいにふくらんだら” と画像はあるのですが、同じサイズのボウルを持っていないとわかりません。
ボウルについては こちらを使えば解決します。本と同じサイズなので、発酵具合はこのボウルに入れて見極めていました。
あとは……1次発酵の見極めにフィンガーチェックの記述がなく、ふくらみ加減だけで判断するのは難しいのでは?と思いました。
パンを焼き慣れてる人ならプスッと指を刺してみるだろうけどさ~
とても丁寧に説明されているところと、表現があいまいなところの差が激しいのが残念。逆に、著者の力の入れ具合がどこにあるのかわかりやすい本とも言えます。
まぁ、残念なところを上回るメリットがあるので、おすすめなのですが。
具材を混ぜ込むときのパン生地の扱い方やタイミング、オーブンでの焼き方はとても詳しく説明されています。
とても勉強になりました。
著者の開くパン教室に通えばもっといろいろとわかるのかもしれませんが、遠方なのでそうもいきません。(一応調べてみたけど条件が難しかった…)
まあ、あいまいな表記なのはそう悪いことでもなかったよ。パン作りについてたくさん調べて試すうちに、上手に焼けるようになったもの
数値を見ながらの
パン作り
そもそも、発酵倍率を測って数値をみながらのパン作りに取り組み始めたのは、この本に出会ったから。
基本のプチパンは失敗の連続。
失敗したパンをせっせと食べながら、「何とかならないかなぁ」と調べては作ってみるの日々。
こね上がりや見極めを「なんとなくのタイミング」で作ることをいくらやっても上手に焼けなくて。
だったら「数値をみながら作るしかない」という結論に至りました。
そして、これが性に合ってたんですね~。
どんどんのめり込んじゃった
何でも詳細に、そして丁寧に解説されている本だったら、計測しながらパンを焼くなんて手間はかけなかったと思います。
ひとつひとつ測りながらのパン作りから学んだことはたくさんありました。
少しのイーストで
ゆっくり発酵パンを
気に入りすぎて他2冊も購入
ゆっくり発酵パンを焼くのが楽しくて、すっかりはまってしまい「なにかの参考になるかな?」 と手に取ってみたのがゆっくり発酵 カンパーニュとゆっくり発酵ベーグルの2冊。
こちらはカンパーニュやベーグルについて、さらに詳しく説明されてます。これはこれで、マニアックな内容で楽しい本たちです。
本書レシピのカンパーニュやベーグルがうまく焼けないときには参考にしてみてもよいのではないでしょうか。
カンパーニュ好きさんへ
変わった成形がのってるよ
おわりに
この本を買ってから10年経った現在は、たまにプチパンを焼くぐらいです。
あれこれ計測しなくても失敗なく焼けるようになりました。
ゆっくり発酵したパンのおいしさに魅せられて夢中で取り組んだパン作り。
上手に焼けるようになるにつれ、わたしに自信と感動を与えてくれた本書に感謝しています。